平方根を学ぼう!

$1$. 平方根ってなんだろう?

平方根(へいほうこん)とは、「$2$乗(平方)すると、もとの数になる数」のことです。「根(こん)」という字には「根源」や「もと」という意味がありますから、「平方の根源」つまり「$2$乗する前の数」と考えると分かりやすいかもしれません。

例えば、「$9$の平方根は?」と聞かれたら、「$2$乗して$9$になる数は何ですか?」という意味になります。答えは、$3$と$-3$の$2$つですね。

$3^2 = 9$
$(-3)^2 = 9$

このように、正の数の平方根は、必ずプラスの数とマイナスの数の$2$つが存在します。この$2$つをまとめて「$\pm 3$」(プラスマイナスさん)と書くこともあります。

ルート記号 $\sqrt{\phantom{x}}$

では、$2$乗して$5$になる数はどうでしょう?整数や分数ではうまく表せませんね。そこで登場するのが、根号(こんごう)またはルートと呼ばれる記号「$\sqrt{\phantom{x}}$」です。

$5$の平方根は $\sqrt{5}$ と $-\sqrt{5}$ になります。$\sqrt{5}$ は「ルート$5$」と読み、これは「$2$乗すると$5$になる正の数」を表す約束事です。

$2$. ルートの値の求め方

ルート記号がついた数の、実際の値はどのように考えれば良いのでしょうか?$2$つの場合に分けて見てみましょう。

ルートが外れる場合(平方数)

ルートの中の数が、ある整数を$2$乗した数(これを平方数といいます)である場合、ルートを外して整数にすることができます。

例えば、$\sqrt{25}$を考えてみましょう。$25$は$5 \times 5 = 5^2$ ですね。したがって、$\sqrt{25}$は$5$と等しくなります。

$\sqrt{25} = \sqrt{5^2} = 5$

おおよその値を求める場合(近似値)

ルートの中が平方数でない場合、その数は整数や綺麗な小数にはならず、無限に続く小数(無理数)になります。その場合、おおよその値がどのくらいなのかを見積もることが重要です。

例えば、$\sqrt{10}$のおおよその値を考えてみましょう。まず、$10$の前後にある平方数を見つけます。

$3^2 = 9$
$4^2 = 16$

$10$は、$9$と$16$の間にあります。つまり、$\sqrt{10}$は、$\sqrt{9}$と$\sqrt{16}$の間にある数だということが分かります。

$\sqrt{9} < \sqrt{10} < \sqrt{16}$ なので、
$3 < \sqrt{10} < 4$ となります。

このことから、$\sqrt{10}$は$3$と$4$の間の数($3$....というかず)であり、特に$10$は$9$に近いので、$3$にかなり近い値だろう、と見当をつけることができます。(実際の値は $3.162...$ です)

豆知識 $1$:ルート記号の起源

この奇妙な形をしたルート記号 $\sqrt{\phantom{x}}$ は、どこから来たのでしょうか?一説には、ラテン語で「根」を意味する "radix" の頭文字 "r" が、時代と共にだんだんと形を変えて現在の記号になったと言われています。昔の数学者が書いた "r" が、今の私たちには $\sqrt{\phantom{x}}$ のように見えたのかもしれませんね。

$3$. ルートの中を簡単にしよう(簡略化)

ルートの中の数字は、できるだけ小さい整数にするのがルールです。この作業には、以前学んだ「素因数分解」が大活躍します。

やり方は簡単で、「ルートの中で$2$乗のペアになった数字は、ルートの外に$1$つだけ出すことができる」というルールを使います。例えば、$\sqrt{12}$を簡単にしてみましょう。

  1. まず、$12$を素因数分解します: $12 = 2^2 \times 3$
  2. これをルートの中に戻します: $\sqrt{12} = \sqrt{2^2 \times 3}$
  3. $2$乗のペアになっている $2^2$ を見つけます。
  4. この$2$をルートの外に出します: $2\sqrt{3}$

これで、$\sqrt{12}$ の簡略化は完了です!このテクニックは平方根の計算で頻繁に使う、非常に重要な基本操作です。

$4$. 平方根の計算ルール

平方根にはいくつかの基本的な計算ルールがあります。これらを覚えれば、様々な計算に応用できます。

乗法と除法

ルート同士の掛け算と割り算は、中の数字をまとめて計算することができます。

$\sqrt{a} \times \sqrt{b} = \sqrt{a \times b}$ (例: $\sqrt{2} \times \sqrt{3} = \sqrt{6}$)

$\frac{\sqrt{a}}{\sqrt{b}} = \sqrt{\frac{a}{b}}$ (例: $\frac{\sqrt{10}}{\sqrt{2}} = \sqrt{\frac{10}{2}} = \sqrt{5}$)

分母の有理化

分母にルートが含まれている場合、分母と分子に同じルートを掛けて、分母からルートをなくす変形をします。これを「分母の有理化」と呼びます。

例えば、$\frac{3}{\sqrt{2}}$ を有理化してみましょう。

$\frac{3}{\sqrt{2}} = \frac{3 \times \sqrt{2}}{\sqrt{2} \times \sqrt{2}} = \frac{3\sqrt{2}}{2}$

分母の $\sqrt{2}$ が整数である $2$ に変わりました。このように有理化することで、値がより分かりやすくなったり、後の計算がしやすくなったりします。

豆知識 $2$:無理数「$\sqrt{2}$」の衝撃

$\sqrt{2}$ や $\sqrt{3}$ のように、ルートを外せない数は、小数で表すと $1.41421356...$ や $1.7320508...$ のように、数字の並びが循環することなく無限に続きます。このような数を「無理数」と呼びます。

古代ギリシャのピタゴラス教団は「すべての数は整数や分数の比で表せる」と信じていたため、この無理数の発見は彼らにとって大きな衝撃でした。一説には、無理数の存在を外部に漏らした弟子が処罰されたという伝説まで残っているほど、当時の数学の世界観を揺るがす大発見だったのです。

豆知識 $3$:現代社会を支える平方根

平方根は学校の勉強だけでなく、私たちの生活を支える最先端技術に深く関わっています。例えば、高画質なビデオゲームやCG映画では、キャラクターや物体間の正確な距離を計算するために、毎秒何百万回も平方根が計算されています。

また、AIや機械学習の世界では、予測モデルの精度を評価する「二乗平均平方根誤差(RMSE)」という指標に不可欠です。さらには、カーナビやスマートフォンのGPSが正確な位置を割り出す際にも、複数の衛星からの距離を計算するために平方根が活用されているのです。

$5$. 練習問題

問題数: 25